ロリカ・セグメンタータの画像

 古代ローマの軍団兵に支給された鎧である。主に、帝政ローマのティベリウスの治世(BC1年)から使われ始めた。曲げた鉄の板金を重ねて作られた甲冑で、映画などでいわゆる「ローマ軍団兵の鎧」としてのイメージが定着しているが、実際に使われたのは1世紀から2世紀までの間と、長いローマの歴史の中では比較的短い期間であった。

 基本構造は、細長く切られた鉄製の板金を重ねて構成されており、胸部、腹部、肩を防護する。構造的には、東アジアで普及したラメラー・アーマーに近いものである。

 鉄の板金でできていることから打撃、突刺に対して有効で、板金が細かく分かれている事により、体の動きに合わせた柔軟性があり、甲冑としての機能は非常に高かった。また、使用しない際に小さく収納ができるという利点もあった。

 反面、頻繁な手入れが必要で、これを怠ると、異種の金属同士の接触部分からすぐに錆び付いてしまうという欠点があった。しかも着脱には二人掛かりで、針金や留め具などで手間が掛かるため、即応性にも欠けていた。地方では、簡略型セグメンタタの開発も行われていたらしいが、欠点の克服には至らなかったようである。

 ローマ軍では、同時期に「ロリカ・ハマタ」と呼ばれる鎖帷子も使われており、後にこちらだけが残り、ロリカ・セグメンタタはわずか200年ほどで歴史から消えた。


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