スケイルアーマーとラメラーアーマーの画像

 スケイルとは日本語で鱗のことで、直訳すれば「鱗の鎧」だが、動物の鱗などを使用して鎧を作っているわけではなく、金属や革などの小片を、紐やリベットなどを用い、丈夫な布や革の下地に鱗状に貼り付けたものである。小片同士が重なり合った構造のため、服の柔軟さをもつ。このため複雑な工夫がなくとも動きを妨げず、胸から胴にかけてを覆う鎧が多く作られた。

 鎧としての機能は、鋭利な刃による攻撃には高い防御効果を持ち、尖った切っ先や鏃による刺突にもある程度の防御効果を期待出来たが、鈍器などによる打撃を吸収する効果はあまり大きくなかった。


【鎧業界の大きな分岐点】
 チェインメイルよりも前からあったスケイルアーマーだが、古い時代のものは重量の割に防御効果が低く、薄手で重ね着が可能なチェインメイルの方が性能面で上と言えた。そして後のスケイルアーマーの発展は、ヨーロッパとアジアで大きく分かれることになる。

 西のヨーロッパにおいては、より低い技術力で生産可能なチェインメイルの方が普及し、かろうじてスケイルアーマーの後継と言えるものは、ローマ軍団兵が着用した「ロリカ・セグメンタタ」に留まった。さらにチェインメイルの発展型であるプレートアーマーも出現したため、スケイルアーマーの出番はなかった。

 一方で東のアジアにおいては、スケイルアーマーの発展型であるラメラー・アーマー(構造的にはスケイルアーマーと同じ)が普及する。チェインメイルより高度な技術を必要とするが、その分防御効果も高かったため、東アジアを中心に一般的な兵士の装備として広まった。日本の武士が着た鎧も、基本的にはラメラー・アーマーに分類される。

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