レザーアーマーの画像

 動物の皮(皮革)などで出来た鎧である。軽量ながらも軽い衝撃には耐える強度を持つので、射手や軽装騎兵などの機敏性が要される部隊が主に着用していた。また、廉価なことから民衆が自衛装備としてよく着込むなど広く利用された。

 製法としては、なめした皮を単純に重ねただけのものや、厚い皮をワックスで煮込んで硬化処理したものなどがあった。なめし皮を重ねただけのものはあまり防御力は期待できず、専ら軽い剣やナイフで切り傷を負うことを防ぐ程度であった。

 一方、ワックスによる効果処理をほどこしたものは、軽量ながらそれなりの強度(打撃吸収性や切削抵抗性)があり、叩かれたり切り付けられたりといった攻撃を多少なりとも防ぐことができた。

 リングメイルやブリガンダイン(後述)のように、金属部品を使うことで防御性を向上させたものも見られる。金属製のリベットを打ち込んで防御力強化を図ったものは、スパイク・レザーアーマーかスタッド・レザーアーマーとも呼ばれる。

 時代が下るにつれ、比較的軽量かつ強度的に有利なチェインメイルなどが普及すると、資金に余裕のある国家の兵士はそちらを着用した。しかし革製の鎧は軽量でもあることから、チェストプレートやチェインメイルをレザーアーマーやブリガンダインと併用することで防御力の向上を図ったケースもあり、こういった重ね着は15世紀頃まで盛んに行われていた。


【ブリガンダイン】
 主に胸部や胴体を覆う皮製の胸当ての一種。キャンバス地の布や革などをベスト状に仕立て、その裏地に長方形の金属片をリベットで打ちつけることで強度を高めている。高価なベルベットや金箔などで外装に美しい装飾を施した高級品もある。

 当初は布の服の上から装着するものだったが、チェインメイルが普及してからは、更にその補助としてブリガンダインを纏うことで、防御力を高めたと推測されている。ブリガンダインの長所は、装着時の動きやすさと、破損してもさほど技術を労せず修復出来る高いメンテナンス性にあり、戦場に不可欠な機能と耐久性を併せ持つ防具として長く使用された。

 防具の製造技術が発展し、ほぼ全身を強固に防護するプレートアーマーが作られた後も、騎馬による移動を行わない歩兵や軽装を好む騎士などは、依然としてブリガンダインを愛用していたようである。

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