盾の画像

 刀剣や槍などによる斬撃、打撃武器による打撃、及び弓矢・投石器の射撃などから身を守るための防具。兵器の威力が使用者の腕力に依存していた古代の戦場においては、盾は生き残るために非常に有効な防御手段であり、徒歩で白兵戦を主体とする兵士にとっては必須であった。

 素材は基本的に木材であり、皮製のものも併用された。これらは攻撃を受けると破壊されるため、一回の戦闘で使い物にならなくなることがほとんどであった。この「使い捨て」の弱点を克服するために、古代には青銅製、ルネッサンス期には鉄製の盾が現れたが、非常に重く、機動性が下がるという大きな欠点があったため、あまり広まることはなかった。

 逆に木材の脆弱性を利用したのがバイキングたちで、縁の補強すらしてない木製の盾で相手の剣を受け、刃が食い込んで動きがとれなくなった一瞬を狙ってカウンター攻撃したという。

 現代においては、銃弾の貫通を防げないため戦場の歩兵が持つことはないが、対民間人相手の暴動鎮圧装備として一般的であり、ジュラルミンやポリカーボネート製の盾がある。また、セラミックや金属などで作られた小銃弾を防御可能な盾や、強靭なケブラー繊維で作られたカーペットのような盾も存在しており、警察の銃器犯罪対策や、軍隊の市街地戦などで使用されている。

 戦場においても、車両や陣地に据え付けの機銃に「防盾」と呼ばれる射手を守るシールド機構が装備されていたり、地面に置く「盾」としては土嚢(砂利が入った砂袋)が利用されている。


【大きさと戦術】
 盾は大きさにより扱い方が若干異なる。

 バックラーと呼ばれる小型盾の場合、盾を打ち付けるなどして攻撃にも用いられた。

 一方で大型盾の場合、盾持ちの兵士が密集陣形を敷いて「壁」を作り、手には長い槍を持ち、陣形を維持したまま前進することで方形陣(ファランクス)を編成した。古代の戦場において、この陣形を破ることは非常に困難であり、劣勢を覆すだけのパワーを秘めていた。

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