トップページへ別サイトへのリンクページへ 近代の歩兵の画像

 それまでの歩兵の移動手段は徒歩や船、馬であったが、19世紀より鉄道が使われ始め、1890年代以降いくつかの国では、自動車を使った自動車化歩兵の部隊が生まれた。この頃から、移動中の兵士の安全を確保することの重要性が認識されるようになり、移動時に装甲車を使用する機械化歩兵も編成されるようになった。

 現代の歩兵は、装甲車や火砲、ヘリコプター等航空機に支援されて行動するが、依然として地上の特定の地域を占領、確保することができる唯一の兵種である。このため戦争遂行にとって必要不可欠な存在でありつづけている。

 また個人が携帯出来る武器の火力が大きくなり、ゲリラ戦や市街戦などの非対称戦争が増加する傾向から、歩兵に高度に専門的な訓練を施した特殊部隊が各国で配備されつつある。


■自動車化歩兵

 非装甲の自動車で移動する部隊。現代の歩兵は原則として自動車化歩兵なので、単に歩兵とされることが多い。

 標準装備は自動小銃(アサルトライフル)であり、補助火力 兼 近接戦闘用に拳銃(ハンドガン)を所持している。また、狭い空間での戦闘を想定した短機関銃(サブマシンガン)、立てこもる敵を破片効果で直接攻撃するための手榴弾などを装備していることもある。さらに火力を高めるため、分隊単位で軽機関銃(ライトマシンガン)が配備される。
 防具は着用せず迷彩服だけの場合が多いが、国家の軍事予算が豊富なアメリカやイスラエルなどでは、ヘルメットや防弾チョッキの着用も行われている。その他、通信機やサバイバル用の日用品など、求められる任務に応じて配備される。


■機械化歩兵

 専用の装甲車両で高速移動する歩兵。車両のように移動中に狙撃される危険も少なく、また装甲車自体も機関砲(ガトリング砲)などで武装されており、歩兵と共に戦闘に参加することができる。また、機甲部隊と同等の機動力を持つため、友軍の戦車部隊などと連携して作戦を実施することができるメリットが大きい。


■空中強襲歩兵

 ヘリコプター等の航空機で輸送され、交戦地域に速やかに展開、撤収する空中機動作戦が可能な作戦的、戦術的機動力を有する歩兵を指し、機械化歩兵の空挺版と見ることができる。敵の支配地域に潜入し、後方連絡線を切断、敵部隊に対する奇襲、破壊工作を実行することができる。


■軽歩兵

 個人装備そのものは自動車化歩兵と変わるところはないが、移動用車両や分隊支援火器が軽量である歩兵。


■空挺兵

 航空機で戦略的な長距離を迅速に移動し、空港施設に頼ることなくパラシュート降下で着陸が可能な歩兵を指す。交戦地域に展開した後は軽歩兵と同様の能力を発揮する。


■レンジャー

 特殊な作戦において運用されることを想定して訓練された歩兵、あるいは歩兵部隊。組織によって意味付けは異なるが、通常の歩兵に加えて特殊なスキルを持つため、精鋭歩兵と見做される事が多い。近年の先進国では、歩兵が表立った作戦行動を取ることが少なくなった一方で、対テロ特殊部隊や災害救助隊としてのレンジャー部隊の需要が高まっている。

inserted by FC2 system